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今朝は妙に冷えると思ったら、やはり雪がちらついていた。
上田は大雪に見舞われるが、此処は若干暖かい様で、其処までは積もらない。だが、寒いのは同じでしんしんと冷える。
先日、大阪に偵察に行ってる忍びが一度報告がてら戻ってきたが、相変わらずの薄着で風邪を引いたりしないだろうか。一度そんな事を口にしてみたが、忍びは自分を心配してる私に喜んでくれていた。いや、其れよりヘソをしまいなさい。にゃは~♪幸村やっさしいん♪
はぐらかしたな。
今度着た時に腹巻でも作っておくか。
・・・・腹巻。
其処で、ふと卓上を見る。
相変わらずの見聞家の小さき御仁は、書庫から選んだ書物の文字を追っている。
何時もの赤と白の総髪は外して、今日は私の手ぬぐいに包まっている所を見ると相当寒いのだろう。
そういえば、寒がりな御人だったっけ。
殿は寒い寒いと寝起きが最悪でねぇ何時も泣きが入るよ、三成は上杉は寒いから絶対住まないなどと言うのだ不義だな、本当生き難くて不憫なコだねぇ
嘗て、彼の方の周りの方々は口を揃えて嘆いておられた。
・・・・・
そうだ、良い事を思い付いた。
久々に何やら胸が躍る。戦中の緊張感の踊る胸の音ではなく、幼い頃に味わう独特のアレだ。
例えば隠れ鬼の時に見つからない様に隠れて、鬼の子が近付いて来る足音に高鳴る心の音。一歩、一歩近付く度に幼い心の音は高まっていき
『幸村』
え?
はっと、顔を上げる。
今、呼ばれた。
あの声に。
とっさに、卓上の小さな方を見た。
私の異変に気付いたらしく、手拭いに包まりながら、此方に小首を傾げながら目線を合わせてくれた。
『み・・・三成、殿・・・』
あぁ・・・
・・そう、だった
呼ばれるはずがない。
あの方は、あの声の方はもう居ない。
何処にも
私の手はいつの間にか硬く握り締めていたせいで、白く変色し、爪で血が滲んでいた。だが、それも関係ない。まるで他人事の様にその白い両の手と滲む赤黒い染みを見ていた。
悲しくは無い、私は悲しく無い。私は悲しくなど、無い。
ぼふっ
私の膝に何かの圧力が掛かった事で、ハッと顔を上げた。
いつの間にか俯いてしまっていた様だ。
しかし
しかし、ぼふっと言う膝の圧力は何だったのだろうか、何気なく己の膝を見てみると
じとり、と此方を睨んで居る小さな御仁と眼が合ってしまった。
何時の間にか膝の上の登頂に成功されていた。
いつも思うのだが、小さいお身体だが威厳が在り堂々とされてる、さすがです、三成殿。
暫く私を睨んだ三成殿は、私と眼が合った事に満足されたご様子で、徐にご自分が包まっている手拭いを、ずいっと私の方に向けた。
・・・此れは
私がボンヤリ三成殿を見ていると、若干いらりとされた三成殿は、もう一度手拭いを私に向けた。
顔、を、拭け、と?
そうっと受け取り、無意識に顔に手拭いをあてて見る。
手拭いは何故か冷たい水を含んでいる。
『・・・涙?』
驚いた。
泣いていたのか。
何故涙を流す必要が有る?もう悲しい事等感じない辛いなど感じない等・・・・
また意識が遠くへ行きそうな刹那、私の右の甲に温もりを感じた。
見ると、三成殿が私の右の手を握ってくださっていた。
小さな手。
でも、其処からじんわりと温もりが広がっていく。手から腕へ。腕から心の臓へ。心の臓は全ての器官へ此の体温を伝えてくれた。生きている。生きている。生きている。生きている。生きている。生きている。
そう、悲しくない。
貴方は何時も人から誤解され易かったけれど、其れは貴方の表面のほんの一部だけで、心根はとても純粋でお優しい方ですね。
『有難う御座います。』
万感の想いを込めて、三成殿にお礼を伝えると、暫く私を見ていたが、不意に俯いてしまった。
一瞬見えたお顔が赤いのは・・・。
『三成殿、お寒いのでは。』
しまった。
防寒の手拭いを私が使ってしまったから、寒さのあまり顔が赤くなってしまったに違いない。申し訳無い事をしてしまった。
そんな三成殿はぶんぶんと首を振り、此方にお顔を上げてくれない。心成しかお顔が益々赤くなってる気がする。
どうしよう。
取り合えず両手で三成殿を上げてお顔の熱の具合を見ようとした所、いきなりピヨンッと私の両手から降りて、懐元に着地され、すばやく中に潜ってしまわれた。確かに此処が私の中で一番温いのだが、熱は大丈夫だろうか。
『三成殿、床をご用意致しますか?』
懐元の三成殿に話しかけてみると、恐らく首をぶんぶん振られてるであろう振動がきた。
己の体温で、温まって貰えるのなら幾らでも差し上げましょう。
ふふっ、と口元が自然と緩んでしまった。
あぁ、今日は感情が色々と出てしまう日だな。
此の小さき御仁のおかげで、此の庵に来て久しく、己の感情を垣間見てしまった。私も未だ生きてるのだな、と。
懐元に感じる温もりに感謝しながら、先程企んでいた計画を早速実行する為、卓上の隅に有る小箱を手に取った。蓋を開けると針と糸が入っている。生地は余り高価な物は此の庵には無いが、なるべく良い生地を使ってみよう。綿は先日商人から分けて貰った物があったけな。
出来上がったら喜んで貰えるだろうか。そっと、懐に触れてみる。小さいけれど、暖かく優しい温度が伝わってくる。
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無双幸村設定だと、なんかすごい寂しい九度山生活だ。
実際はパパも嫁もお子も居て、楽しそうなのだろうけど。
でも、あくまでも無双設定なので、独身貴族を貫いて頂こうと(笑)